3 相続の効果


  ⑴ 総則的、一般的効力
       
   ア 一般的効力

     相続人は、被相続人の一身に専属したものを除いて、被相続人の財産に属した一切の権利
    義務を承継します(民法896条)。
     一切の権利義務には、個別具体的な権利義務のみならず、契約上の地位や意思表示の相手
    方としての地位等も含まれます。
     
     一身に専属し、相続性を有しないものとして、次のようなものが挙げられます。

     ・代理権(111条)
       例外として、授権契約で別段の定めをした場合、商行為による委任の代理(商法506
       条)、訴訟代理権(民訴58条)は、本人の死亡によっても消滅しません。
     ・定期の給付を目的とする贈与(552条)
     ・使用貸借における借主の地位(599条)
     ・雇用における使用者、被用者の地位(625条)
        使用者の死亡については、原則として雇用契約は終了せず、人的関係が特別に濃厚
       な場合に限るのが相当と解されます。
     ・委任における委任者・受任者の地位(653条) 代理権参照
     ・民法上の組合の組合員の地位(679条)
     ・保証債務については、保証の内容により異なり、一般的な保証債務は相続の対象となり
      ますが、責任範囲が極めて広範であったり、個人的な信用関係に立脚するようなものに
      ついては、相続性が否定される傾向にあります(既に発生している保証債務は相続しま
      す)。
      責任限度額及び期間の定めのない根保証について、保証人の地位は、特段の事情のない
      限り相続人に承継されません(最判昭和37年11月9日)。
      身元保証についても、一身専属性が強い債務として保証人の地位の相続性を否定する見
      解が有力です。
     ・その他、代替性のない債務、扶養請求権、生活保護受給権、親権者の地位、公営住宅使
      用権などは相続の対象とならないとされています。


   イ 祭祀に関する権利の承継
     
     法は、系図、祭具、墳墓などの祭祀財産は相続財産から除外し、承継者については、別途、
    被相続人の指定、慣習、家庭裁判所の審判の順で定められるものとしています。
     祭祀承継者の法定相続分が増えることはありませんが、被相続人が、生前贈与や遺贈とし
    てその負担を考慮することはできます。
 
     実際的な問題として、葬儀費用をだれが負担すべきか、相続財産から支出が単純承認にな
    るかなどが問題となることがあります。
     葬儀費用については、一般的には、まず香典から支払い、次いで相続財産から、不足があ
    れば相続人が相続分に応じて支払うという形がとられているようです。
     香典の本質は、葬儀費用一部負担の慣行にあるとされているところであり、葬儀費用に充
    当されるべきものといえますし、公平性の観点からも妥当といえるでしょう。
     この点に関し、名古屋高裁平成24年9月29日判決は、「葬儀費用は、相続開始後に生
    じた債務であるから、相続人であるからといって、ただちに葬儀費用を負担すべきものとは
    解されず」とし、予め自らの葬儀に関する契約締結などしておらず、相続人や関係者間で葬
    儀費用負担についての合意がない場合は、「追悼儀式に要する費用については同儀式を主催
    した者、すなわち、自己の責任と計算において、同儀式を準備し、手配して挙行した者が負
    担し、埋葬等の行為に要する費用については亡くなった者の祭祀承継者が負担するものと解
    するのが相当である」としています。
     葬儀費用等を相続財産から支出した場合も、社会通念上身分相応の葬儀であれば、単純承
    認となる相続財産の処分には当たらないと解されています。
     大阪高裁決定平成14年7月3日は、仏壇や墓石の購入についても、単純承認となる相続
    財産の処分には当たらない可能性があることを示唆しています。
     勿論、単純承認となるか否かは、個々具体的に判断されることになりますので注意が必要
    です。

   ウ 相続財産の共有
     
     相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する(898条)ところ、その共有
    の性質が議論されてきましたが、判例は「民法249条以下に規定する「共有」とその性質
    を異にするものではないと解すべきである」としています。
     しかし、民法物権編の純粋な共有でもなく、典型的な合有でもないというべきでしょうか。
 

   エ 権利義務の承継割合
     
     各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継します(899条)。
     相続分は、民法900条以下の規定により定まりますが、協議分割では、相続人が指定相
    続分や法定相続分と異なる合意をすることができるのが原則であることから、もっぱら、債
    権、債務が問題となります。
   
    ⅰ 可分債権

      可分債権について、判例は、899条によって、相続開始により法律上当然に共同相続
     人に相続分に応じて分割されるとしています。
      しかし、これまで可分債権とされてきた預貯金等債権について、遺産分割協議を必要と
     する最高裁決定及び判決が出ています。
      最高裁大法廷平成28年12月19日決定は、「共同相続された普通預金債権、通常貯
     金債権及び定期貯金債権は、いずれも、相続開始と同時に相続分に応じて分割されること
     なく、遺産分割協議の対象となるものと解するのが相当である」とし、最高裁第一小法廷
     平成29年4月6日判決は、「共同相続された定期預金債権及び定期積金債権は、いずれ
     も、相続開始と同時に相続分に応じて分割されることはないものというべきである」とし
     ました。
      そうすると、相続人間で合意が得られず、葬儀費用や相続税等を相続財産でしか支払え
     ない相続人をどのようにして保護するかが問題となりますが、「仮分割の仮処分」を活用
     することが考えられています。しかし、それには、遺産分割調停・審判の係属が要件とさ
     れていることから、必ずしも十分とはいえないということになります。
   
    ⅱ 可分債務

      相続分に応じて各相続人に法律上当然に分割承継され、債権者は、各相続人に相続分に
     応じた請求のみをすることができ、相続人は相続分に応じて弁済すればよいことになりま
     す。
      法定相続分と異なる負担割合を遺言や遺産分割で決めた場合、相続人間では有効ですが、
     債権者は応じる義務はありません。
      債権者としては、関与できない偶然の事情によって債務が細分化されてしまい、しかも、
     無資力者がいるとその負担部分を回収できない不都合が生じることにもなります。
      連帯債務についても、判例は、原債務が分割され、各共同相続人は相続分に応じて継承
     した債務を負担部分とし、その限度で本来の連帯債務者と連帯責任を負うとしています。
    
    ⅲ 不可分債務

      不可分債務については、各相続人がそのすべての責任を負います。
      不可分債務には、賃貸物を使用収益させる賃貸借契約上の債務、賃料支払債務、不動産
     明渡義務、被相続人譲渡不動産の引渡義務、土地所有権移転登記義務等があります。

  ⑵ 相続分
    
    相続分とは、各共同相続人が相続財産に対して有する権利義務承継の割合、もしくはその割
   合によって取得すべき相続財産の価額をいいます。
    相続分は、まず被相続人の指定により定まり(指定相続分)、指定がないときは民法の規定
   によります(法定相続分)。 

   ア 法定相続分

     法定相続分は、遺言により相続分が指定されていない場合に適用があり、同順位の相続人
    が複数いて共同相続となる場合の各相続人の相続分を、次のとおり定めています。

    ⅰ 子と配偶者     その相続分は各2分の1(民法900条1号)
    
    ⅱ 配偶者と直系尊属  配偶者3分の2、直系尊属3分の1(同条2号)

    ⅲ 配偶者と兄弟姉妹  配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1(同条3号)
   
    ⅳ 子、直系尊属及び兄弟姉妹が数人いるときは各自の相続分は均等が原則とし、父母の一
      方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1
      (同条4号)

     なお、同法4号ただし書の規定のうち、「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の2分
    の1とし」との部分は、憲法違反とする最高裁大法廷平成25年9月4日決定を受けて、平
    成25年12月5日に改正され、当該部分が削除されました。
     これにより、嫡出子と嫡出でない子の相続分は同じとなりました。
     新法の適用は、最高裁決定の日の翌日である平成25年9月5日以降に開始した相続とさ
    れています(附則第2項)。
     ただし、最高裁決定は、①遅くとも平成13年7月において違憲であったとし、②その違
    憲判断は、平成13年7月から本決定までの間に開始された他の総奥につき、遺産分割の審
    判その他の裁判、遺産分割の協議その他の合意等によって確定的なものとなった法律関係に
    影響を及ぼすものではないとしていることから、平成13年7月1日から平成25年9月4
    日(決定の日)までの間に開始した相続のうち、当該決定後に遺産分割をする場合には、違
    憲判断にしたがい、嫡出子と嫡出でない子の相続分は均等と扱われることになります。
  
   イ 代襲相続分

     子の代襲相続人となる直系卑属の相続分と兄弟姉妹の代襲相続人となる子の相続分につい
    ての規定が置かれています。
  
    ⅰ 民法887条2項、3項の規定によって相続人となる直系卑属(代襲相続人)の相続分
     は、その直系尊属(被代襲者)が受けるべきであったものと同じです。
      なお、嫡出子と嫡出でない子の相続分は同じになりましたので、直系卑属が数人いると
     きは、均等に相続することになります(901条1項)。

    ⅱ 兄弟姉妹の子が代襲相続する場合にも準用されます(同条2項)。

   ウ 指定相続分

     相続分の指定は、被相続人の意思を尊重し、相続財産を諸事情に即して合理的に分配する
    制度とされますが、そうした趣旨は遺贈や遺産分割方法の指定によっても可能であり、それ
    らの区別は明確でないとされています。

     被相続人は、遺留分の規定に反しない限り、遺言で、法定相続分に拘束されることなしに
    共同相続人の相続分を定め、またはその定めを第三者に委託することができます(902条
    1項)。
     被相続人が、一部の共同相続人の相続分のみを定め、または定めさせたときは、他の共同
    相続人の相続分は法定相続分の規定によって定めることになります(同条2項)

  ⑶ 特別受益者の相続分 

    共同相続人中に被相続人から遺贈や一定の生前贈与を受けた者がいる場合、これら贈与が相
   続分の前渡しの性格を有すること、公平の観点などから、相続分を算定するに際して、計算上
   特別受益を遺産に持戻すこととしています(民法903条)。
    被相続人が持戻免除の意思を表示したときは、遺留分の規定に反しない範囲で効力を有しま
   す(同条3項)。

   ア 特別受益者の範囲
      
     特別受益者となるのは、共同相続人中遺贈を受け、または婚姻、養子縁組のためもしくは
    生計の資本として贈与を受けた者です。
     ここでは、被代襲者が特別受益を受けていた場合の代襲相続人、自身が特別受益を受けて
    いた代襲相続人、後から配偶者や養子となった場合のように受贈後代襲相続人となった者、
    包括受遺者について、特別受益者として持戻をさせるべきかが問題となります。
     説の対立がありますが、法が受贈時に推定相続人の資格があることを要件としていないこ
    と、公平の観点から、包括受遺者を除いては、特別受益者として持戻をさせるのが相当と解
    されます。
    
   イ 特別受益の範囲
    
    ⅰ 遺贈 

      遺贈は、すべて持戻の対象となります。

    ⅱ 婚姻・養子縁組のための贈与

      持参金、支度金、嫁入道具等の持参財産などがこれにあたり、結納金や挙式費用は、親
     側の社交儀礼の側面もあって、含まれないと考えられています。
      ただし、金額や実際の使用目的等をも考慮して具体的に判断されるべきでしょう。

    ⅲ 生計の資本としての贈与

      独立の際の不動産、営業資金、特別な高等教育のための学資等がこれにあたるとされて
     います。
      
   ウ 持戻免除の意思表示
      
     遺贈については、遺贈が遺言によってなされることから、持戻免除の意思表示についても
    遺言によります。
     生前贈与については、特別の方式は要求されていず、明示、黙示を問わず、生前贈与時に
    なされることも要しないとされています。
     持戻免除の意思表示が他の共同相続人の遺留分を侵害する場合、当然に無効となるのでは
    なく、他の相続人に遺留分減殺請求権が生じるにとどまるとする立場が有力です。
    
   エ 特別受益の評価
      
     特別受益となる受贈財産の評価時期は、相続開始時節と遺産分割時節が対立していますが、
    相続開始時説が通説であり、受贈財産を相続開始時の時価で評価し、金銭については、物価
    指数により評価替えすることになります。
     受贈者の行為によって受贈財産が滅失し、価額が増減した場合は、相続開始の当時なお原
    状のままであるものとみなして、その額を定めることになります(904条)。
     受贈財産が天災等で滅失してしまった場合については、具体的状況にもよると思われます
    が、特別受益として評価しないと解するのが相当と思われます。

   オ 特別受益となるか否かなどが問題となる場合

    ⅰ 生命保険金

      生命保険金については、受取人が指定されている場合、受取人が相続人とされている場
     合、保険約款において受取人を相続人としている場合は、いずれも受取人固有の財産であ
     り、相続財産を構成するものではないとされています。
      ただ、相続財産ではないとしても、相続人間の公平をはかるために、持戻すべきである
     とするのが通説であり、持戻の対象額を、払込保険料の保険料全額に対する割合を保険金
     に乗じて得た金額(修正保険金額説)などとされてきました。
      しかし、最高裁平成16年10月29日決定は、原則として、特別受益に当らないとし
     たうえで、「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民
     法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価す
     べき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、当該死亡保険金請求権は特別
     受益に準じて持戻し対象となると解するのが相当である」としました。
      「特段の事情」については、①保険金の額、②保険金の額の遺産総額に対する比率、③
     同居の有無、④被相続人の介護等に対する貢献の度合いなどの保険金受取人である相続人
     及び他の共同相続人と被相続人との関係、⑤各相続人の生活実態等を挙げ、諸般の事情を
     総合考慮して判断すべきであるとしています。
      なお、家裁の運用としては、保険金額が遺産総額の6割を超えるような場合は持戻しの
     対象となると判断される可能性が高くなるとしているようです。

    ⅱ 死亡退職金

      法令や退職金規定により死亡退職金の受給権者が定められている場合、最高裁判例は、
     受給権者の固有財産であり相続財産に含まれないとしています(特殊法人職員・昭和55
     年11月27日、地方公務員・昭和58年10月14日、私大職員・昭和60年1月31
     日)。
      規定等で受給権者が定められていない場合は、裁判例が分れていますが、慣行の有無等
     により判断が異なる傾向がみられるようです。
      規定も存在しない場合の支給については、個々具体的な事情によって判断されることに
     なろうと思われますが、死亡退職金の支給規定のない財団法人が死亡した理事長の妻に支
     給した死亡退職金が相続財産に属さず妻個人に属するとした最高裁判決(昭和62年3月
     3日)があります。
      死亡退職金が受給権者の固有の財産であると解される場合についても、生命保険金と同
     様、特別受益に準じて持戻し対象となることがあると解されます。
 
    ⅲ 遺族給付金

      遺族年金等の遺族給付金は、法律で定められ、遺族の生活保障の趣旨に基づくことから、
     受給権者固有の財産であり、相続財産ではないと解されています。
      これについても、特別受益に準じて持戻し対象となることがありうると解されます。
   
    ⅳ 相続放棄、税法との関係

      生命保険金、死亡退職金等は、遺産ではないことから、相続放棄をしても受給すること
     ができます。
      税法との関係では、みなし相続財産として相続税の対象となります(相続税法3条)。

    Ⅴ 不動産の無償使用

      被相続人の土地に相続人が建物を建てて無償で使用していた場合は、使用借権の設定が
     特別受益にあたり、使用借権そのものの評価とされています。
      建物の無償使用については、恩恵的な趣旨が強く、経済的価値も低いとして、特別受益
     にあたらないと解されています。


  ⑷ 寄与分 

    共同相続人中に、被相続人の財産の維持又は増加につき特別の寄与をした者がいる場合、実
   質的公平をはかる趣旨から、その者に特別の寄与に応じた財産を取得させる規定(民法904
   条の2)であり、昭和55年に新設されました。

   ア 寄与分権利者

     寄与分権利者は、相続人であることを要します。したがって、包括受遺者には寄与分は認
    められません。
     代襲相続人は、自らの寄与を主張できるとともに、被代襲者の寄与行為を理由に寄与分を
    主張できると解されています。
     相続人でない者は、被相続人の財産の維持・形成にいかに貢献していたとしても寄与分を
    主張できないが、相続人の配偶者等が貢献した場合に、相続人の履行補助者として評価して
    当該相続人の寄与分が認められる可能性があります。
     相続分の譲受人については両説があり、行使・帰属上の一身専属権ではないとして認める
    立場が有力です。
    
   イ 寄与の態様
     
     寄与は、「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護そ
    の他」で、方法は問いません。家業従事型、金銭等支出型、扶養型、療養看護型、財産管理
    型等に類型化されていますが、無償またはこれに近い状態で寄与行為がなされたことを要す
    るものとされています。
     また、その程度については、「特別の寄与」であることから、考慮しなければ公平性が保
    てないほどの大きな寄与でなければならず、親族間の協力・扶助等の法律上の義務や通常期
    待されている程度の寄与は、これに該当しません。
  
   ウ 寄与の時期 
     
     寄与分が明文化される以前は、相続開始後の寄与が認められるか否かについて議論がなさ
    れていましたが、904条の2の第1項が定めるのみなし相続財産の算出方式からして、相
    続開始後の寄与は認められないと解されています。

   エ 寄与分額の決定

     寄与分は、共同相続人の協議により定めますが、協議が調わず、または協議することがで
    きないときは、寄与者の請求により、調停または審判により定められます(904条の2、
    1、2項)。
     寄与分の算定は、「寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮し
    て」定められ、その額は、相続開始時の財産額から遺贈の額を控除した額を超えることはで
    きません(同条2、3項)。
     したがって、寄与分は、絶対的な金額として算定されるものではなく、他の共同相続人と
    の相対関係から定められるものであり、無償の支出額そのものがそのまま寄与分と認められ
    るわけではありません。

   オ 具体的相続分の算定方法
     
     具体的相続分とは、特別受益や寄与分によって修正された相続分をいい、分配の前提とし
    ての計算上の価額またはその価額の遺産総額に対する割合となります。
     そして、具体的相続分は、特別受益や遺産を総則開始時の価額で評価して算出されます。
     したがって、特別受益や寄与分がある場合の遺産分割は、相続開始時と遺産分割時の2時
    点での評価が必要となります。
     すなわち、特別受益や寄与分の評価の基準時は相続開始時であり、遺産分割の評価基準時
    は遺産分割時とされていますから、特別受益や遺産を、一旦相続開始時の価額で評価して具
    体的相続分を算出し、次いで遺産を遺産分割時の価額で評価して実際に分割するという、二
    段階の手続が必要となります。
 
   カ 特別受益や寄与分がある場合の遺産分割取得分額

     特別受益や寄与分がある場合の「遺産分割取得分額」の具体的な計算方法は、
     ① 相続開始時の遺産の評価額に特別受益の価額を加算し、寄与分の価額を差し引いて、
       みなし相続財産を算定、
     ② みなし相続財産を法定相続分で除す。
     ③ ②から特別受益者について特別受益分を差し引き、寄与者に寄与分を加算し、具体的
       相続分(額と率)を算定
     ④ 分割時の遺産総額に具体的相続分率を乗じ、各相続人の遺産分割による取得額を算定
       する。
     という手順になります。