4 離婚問題etc.


  ⑴ 有責配偶者の離婚請求
    
    離婚原因のとらえ方として、相手方に不貞行為等の有責な原因がある場合に限り離婚を認
   める「有責主義」と、有責行為がなくても生死不明等の破綻原因があれば離婚を認める「破
   綻主義」があります。
    そして、破綻主義は、有責配偶者からの離婚請求を認める「積極的破綻主義」とそれを認
   めない「消極的破綻主義」に分かれます。

    我が民法は、770条1項5号に抽象的破綻原因を規定し、破綻主義を採用していますが、
   有名な最高裁昭和27年2月19日の「踏んだり蹴ったり判決」にみられるように、旧来は、
   消極的破綻主義が判例・多数説でした。
   
    しかしながら、世界の趨勢もあって、下級審で積極破綻主義に基づく判断が指向されるよ
   うになり、最高裁も、有責配偶者からの離婚請求が認められる場合があることを認めました。
    
    最高裁昭和62年9月2日判決は、

     ①別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及ぶ
     ②未成熟の子がいない、
     ③相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等
      離婚請求を容認することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が認め
      られない場合

    には、有責配偶者の離婚請求も認められるとしました。

    上記最高裁判決の事例は、別居期間が36年に及ぶ長期間であり、双方とも高齢となって
   いるというものでしたが、別居期間については、その後、次第に短縮される傾向にあり、7
   ~8年程度で認められるようになっています。
    
    平成8年の法制審「民法の一部を改正する法律要綱」は、離婚事由として、「夫婦が5年
   以上継続して婚姻の本旨に反する別居をしているとき」を挙げており、将来的には、5年が
   基準になるように思われます。
    なお、第1審の若手裁判官は、婚姻の基礎は愛情であると考える傾向が強く、別居期間が
   3~5年程度であっても離婚を認める場合があるようです。

  ⑵ 内縁の解消
    
   ア 内縁と効果

     内縁とは、婚姻の意思と夫婦としての共同生活の実態を有しているが、婚姻届がなされ
    ずに法律上の夫婦と認められない関係をいいます。
     婚姻適齢(民法731条)、再婚禁止期間(733条)、未成年者の婚姻についての父
    母の同意(737条)の適用はありませんが、重婚禁止規定(732条)との関係では、
    裁判例は、重婚的内縁について、法律婚が破綻して事実上の離婚状態にある場合に内縁の
    成立を肯定して、その解消に財産分与の準用を認めています。

     内縁は、当初婚姻予約として保護され、現在では準婚関係としてとらえられており、婚
    姻の法的効果についても原則として準用されますが、姻族関係の発生、夫婦の氏、成年擬
    制、嫡出推定、相続などの婚姻の届出や戸籍の記載に係る効果は除かれます。

   イ 解消と効果

     内縁の解消について、法律上の手続はなく、一方当事者の死亡により、また、当事者の
    合意によって解消しますが、一方当事者の意思によっても解消してしまいます。

     内縁の配偶者に、相続権は認められないとするのが通説・判例です。
     戸籍の公示により形式的・画一的な判断、処理ができない関係に取引秩序に関わる相続
    権を与えるのは相当ではないと考えられています。
     しかし、相続人が不在の場合に、特別縁故者として相続財産を分与されることがありま
    す(958条の3)。
     また、居住用建物の賃借権は、賃借人に相続人なしに死亡した場合、内縁の配偶者に承
    継され(借地借家法36条)、相続人がある場合についても、最高裁昭和39年10月1
    3日判決は、相続人からの明渡請求を権利濫用としています。
     なお、最高裁昭和42年4月28日判決は、内縁の配偶者は、相続人の賃借権を援用し
    て、賃借人からの明渡請求を拒絶できるとしています。

     生存中の内縁解消については、財産分与の規定が準用されますが、死亡による解消につ
    いてはどうかが問題となります。
     この点については、不合理が生じないようにする立場から様々な説が唱えられています
    が、共有などの財産法上の規定による対処にとどまらざるを得ないのではないかと思われ
    ます。

  ⑶ 財産分与と税金
    
   ア 贈与税

     原則として、財産分与には贈与税はかかりません。
     財産分与には、清算的要素、扶養的要素、慰謝料的要素があるとされ、その趣旨の範囲
    内であれば贈与ではないと考えられるからです。
     しかし、次の場合には贈与税がかかります。

     ① 財産分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべ
      ての事情を考慮してもなお過多と認められる場合
       この場合は、過多となる部分につき贈与税が課せられます。

     ② 離婚が贈与税や相続税を免れるためになされたと認められる場合
       この場合には、離婚による取得財産のすべてに贈与税が課せられます。
  
   イ 財産分与が土地・建物等の不動産で行われた場合
 
    ⅰ 財産分与をした者に譲渡所得税が課せられる場合があります。
      財産分与の不動産価額は、分与時点の時価で評価しますが、購入時より時価が高くなっ
     ていれば課税されることになります。
      なお、居住用不動産の譲渡については、①居住用不動差難を譲渡した場合に3000万
     円までの控除が認められる(特別控除)、②居住用不動産を売った年の1月1日に、所有期
     間が10年を超えている場合には税率が軽減される(軽減税率の特例)のですが、いずれ
     も、親子や夫婦の関係がある場合には適用されません。
      これらの適用を受けるためには、離婚が成立してから、財産分与をするということにな
     ってしまいます。
      なお、住宅やマンションの場合には、簿価より時価が高くなっているということは通常
     はないであろうと思われます。

    ⅱ 財産分与で不動産を取得した場合、
  
      扶養あるいは慰謝料として不動産を分与された場合については、不動産取得税が課せら
     れます。
      また、清算の趣旨で不動産を分与された場合も、持分とみなされる部分以外については
     課税されるはずです。
      しかし、不動産取得税は都道府県に課税権限があり、清算の趣旨の財産分与の場合には
     減免措置を設けており、実質的には課税されない状況にあります。
      都道府県に問い合わせの上判断するのが得策でしょう。
 
      登録免許税はかかりますが、対抗要件を備えるために登記が必要です。
      登録免許税、不動産取得税は、合意で分与者の負担とすることも可能です。